JR東日本と川崎市は、横須賀線武蔵小杉駅と駅周辺の混雑緩和対策として、下り専用ホームの新設や新しい改札口の設置などの取り組みを進めています。
乗り換え動線集中しホームも混雑
横須賀線ホームが開設された2010年度の同駅乗降客数は約10万人でしたが、2019年度は約13万人にまで増加しています。これに伴い、駅構内や周辺道路ではラッシュ時間帯の混雑が問題となっています。同社と市は2018年7月に覚書を結び、混雑緩和に向けた対策を進め、安全性や利便性を向上していくことで合意しました。
混雑の原因として、東急線から横須賀線への乗り換えアクセスが2つの動線に集中していることが挙げられます。一つは、北改札(南武線口)から入場して南武線下りホームと連絡通路を経由するルート、もう一つは、東口駅前広場から道路を歩いて新南改札(横須賀線口)に向かうルートです。また、島式ホーム1面に横須賀線上下線の利用者が滞留していることや、横須賀線利用時の通路を兼ねている南武線下りホームでの人の交錯も安全面での課題となっています。
短期的に進められる取り組みはこれまでにも行われています。2018年度には南武線下りホームで一部の幅が広げられたほか、新南改札付近に入場専用の臨時改札とエスカレーターが設置されました。続く2019年度は横須賀線ホームが改良され、列車進入を光の点滅で知らせるスレッドラインと、転落防止のための注意喚起センサーが整備されました。加えて、2021年度には南武線にホームドアの設置が行われ、これらの対策により混雑緩和と安全性確保に一定の効果が現れているとのことです(武蔵小杉駅の混雑緩和対策の解説図など詳細は下の図表を参照)。
ホーム分離は前倒しで実現
混雑緩和の抜本的な対策として、横須賀線に新たな下りホーム(横浜駅・羽沢横浜国大駅方面)を設置し、現在のホームを上り(東京駅・新宿駅方面)専用とする「2面2線化」の工事が2020年4月から進められてきました。当初は2023年度の完成を目指していましたが、工事が順調に進んでおり、2022年12月18日(日)から新下りホームの使用が開始することが決まりました。
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ホーム増設の事業費はJR東日本が負担しています。同社によると、朝ラッシュ時間帯にはこれまでと比べ、約3割程度の混雑緩和効果が見込まれるとしています。なお、新下りホームの使用開始後、現ホームの下り線側には柵が設置される予定です。
さらに、2023年度内を目標に、横須賀線ホーム下の北東側に新規の改札口が設置されることが決まり、工事に着手することが発表されました。この改札口の新設にあたっては、2022年6月17日に結ばれた協定に基づき、約12億円の事業費を基本的に川崎市が負担します。駅部分の工事の施工はJR東日本が担当し、駅務室や新たなコンコース、改札機、券売機などが設置されます。
新規改札口への新たなアクセスルートは川崎市が主体となって施工し、改札口と同時に使用を開始する予定です。横須賀線と東海道新幹線、さらに並行する綱島街道(県道東京丸子横浜線)の高架下に改札外の歩行者通路が新設され、利用者動線を分散化することにより混雑緩和を図ります。また、南武線をオーバーパスする綱島街道の「上丸子こ線橋」には、張り出し歩道と斜路付きの階段が別途整備され、南武線北側エリアからの横須賀線利用も便利になる予定です。